- 物販商品(自宅から発送)あんしんBOOTHパックで配送予定¥ 800
入学式は間近、住むところがない。 大学進学を機に故郷を離れてきた松井は不動産前に貼り出されている物件とにらみ合いをしていた。学生向けの部屋は見当たらない。受験で来たときに無理にでも部屋を探しておけばよかった……そう思っていると、横から声をかけられた。 「あんた、住むとこ探してんの?」 同じ年頃の、整った顔をした青年は松井をまっすぐに見つめてこう続けた。 「なら、一緒に暮らさねぇ?」 ……何を言われているのか分からなかった。 固まってしまった松井に助け舟を出したのは、前髪で目許を覆った青年だった。彼はのんびりした口調でこう説明した。 「えっとね、僕と豊前はシェアハウスで暮らしているんだ。だから、さっきの豊前の言葉はそういうこと」 整った顔の軽やかな青年・豊前と、長い前髪の穏やかな青年・桑名に誘われて、出会ったばかりの同い年三人での共同生活が始まった——踏み込まれすぎない心地好さと、語りたくないことを持つ後ろめたさとともに。 ---------- 2022/3/21閃華春大祭2022にて頒布した現パロくわまつ小説本です。 A5/本文128頁 ノベルティとして栞が一枚付きます。少し失敗しているところもあるのですが、きれいに刷っていただいたのでもらってやってください。 後書きにてプチ名「ごーとぅすてぃじ」を「ごーとぅすてーじ」と書き間違えております、本当にすみません……。
入学式は間近、住むところがない。
大学進学を機に故郷を離れてきた松井は不動産前に貼り出されている物件とにらみ合いをしていた。学生向けの部屋は見当たらない。受験で来たときに無理にでも部屋を探しておけばよかった……そう思っていると、横から声をかけられた。
「あんた、住むとこ探してんの?」
同じ年頃の、整った顔をした青年は松井をまっすぐに見つめてこう続けた。
「なら、一緒に暮らさねぇ?」
……何を言われているのか分からなかった。
固まってしまった松井に助け舟を出したのは、前髪で目許を覆った青年だった。彼はのんびりした口調でこう説明した。
「えっとね、僕と豊前はシェアハウスで暮らしているんだ。だから、さっきの豊前の言葉はそういうこと」
整った顔の軽やかな青年・豊前と、長い前髪の穏やかな青年・桑名に誘われて、出会ったばかりの同い年三人での共同生活が始まった——踏み込まれすぎない心地好さと、語りたくないことを持つ後ろめたさとともに。
----------
2022/3/21閃華春大祭2022にて頒布した現パロくわまつ小説本です。
A5/本文128頁
ノベルティとして栞が一枚付きます。少し失敗しているところもあるのですが、きれいに刷っていただいたのでもらってやってください。
後書きにてプチ名「ごーとぅすてぃじ」を「ごーとぅすてーじ」と書き間違えております、本当にすみません……。